採用・人事担当者のための調査コラム 

新卒採用は「盛る」より「信頼」。大学生100人の本音が示す、「採用SNS」の新常識

「SNSは採用に効くのか?」

多くの人事担当者が抱くこの問いに、当事者である大学生自身が答えを持っている。
本コラムは、リデルのインターンが就活中の大学生100名に実施したアンケート調査をもとに、SNSが企業選びにどう影響しているのかを読み解きます。前半でデータの全体像を示し、後半では自由記述に寄せられた“肉声”を一つずつ引用し、その一言ずつを解剖します

結論を先取りすれば、SNSはすでに公式HPを上回る情報源であり、企業選びの“入口”として確実に機能している。

ただし成果を出せるかは「何を、どう発信するか」の設計次第です。

【調査概要】
・調査名
:大学生の就活・SNS活用に関するアンケート
・調査主体
:LIDDELL株式会社(学生インターンによる企画・実施)
・調査対象:
就職活動中の大学生・大学院生(明治大学・慶應義塾大学・日本大学・東京理科大学・早稲田大学 ほか)
・有効回答数
:100名
・調査期間
:2026年4月〜6月
・調査方法
:GoogleフォームやLINE、オフラインコミュニケーションによるアンケート

プレスリリースの内容はこちら:************

<最後のパートに学生の本音と核心が掲載されています>

■ まず、学生は何を重視しているか

企業選びの最重要軸は「給与・賞与」(1位選択35%)。
ただし、「職場の人間関係・雰囲気」も上位に食い込む
数字や条件だけでなく、「働く空気」が判断材料になっている。

Q1:就活で最も重視する条件(1位回答)/N=100(人)

1|SNSは、すでに公式HPを超えている

「最もよく使う就活情報源」を重視度でスコア化(1位=3pt・2位=2pt・3位=1pt)したところ、SNSは公式採用HPを上回り、就活ナビサイトに次ぐ第2位の情報源となった。
1位回答だけを見ても、SNSを挙げた学生(27名)は公式HP(14名)の約1.9倍にのぼる。

Q2:よく使う就活情報源(重視度スコア)/N=100

POINT採用HPだけを整えても、学生の情報接点の主戦場はSNSに移っている。まず「見られている場所」に立つことが前提になった。

■ 2|SNSは「興味」を作れる。でも半数が「行動」の手前で止まる

SNSで偶然見た投稿がきっかけで企業に興味を持った経験がある学生は68%

一方、実際にエントリー・説明会参加などの行動にまで至ったのは35%。

興味を持った学生のうち、行動に移したのは約半数(51.5%)にとどまる。

Q4:SNSで偶然見た投稿→企業に興味を持った経験/N=100(人)

INSIGHT「興味 → 行動」の間に大きな<離脱>がある。投稿でバズを狙うだけでは不十分で、プロフィール・固定投稿・採用ページ・説明会予約までの“導線設計”が成果を分ける。

3|学生は“裏取り”する——ネガティブ検索は、もはや常識

企業を知った後、最多は口コミサイトでの評価確認(44.0%)。さらに「社名+辞めたい/ブラック」36.0%、「社名+残業/パワハラ」28.0%。口コミ確認・ネガティブ検索のいずれかを行う学生は79.0%にのぼる。

Q9:企業の「本当の姿」を探るSNS行動(複数回答)/N=100(%)

■ 4|嫌われるのは「地味さ」ではなく「演出臭」

「センスがない」と感じる投稿は「やりすぎ・演出臭」系が上位を占めました。

「痛い企業アカウント」として失笑されるか、「分かってる!神公式」とバズるかの境界線は、本当に紙一重の絶妙なニュアンスの上に成り立っています。

若者や学生は「大人の商売っ気」や「無理な若作り」に対するセンサーが非常に鋭いため、単に流行りの言葉やミームをなぞるだけだと、逆効果になるリスクが常に潜んでいます。

以下をチェックすることを勧めます。

・「言葉の賞味期限」と「空気感」は大丈夫か

・「乗っかるスピード」にタイムラグがないか

・「元ネタへの愛とリスペクト」があるか

Q6:「センスがない」と感じる投稿(複数回答)/N=100(%)

逆に、企業が力を入れがちな要素ほどスルーされる。「全く考慮しなかった」上位は、社長の経歴44.0%・SDGs40.0%・創業話35.0%・採用動画28.0%。作り込んだ「魅せ方」は必ずしも届かない。

Q8:就活で「全く考慮しなかった」要素(複数回答)/N=100(%)

■ 5|効くのは「等身大・本音・信頼」

志望度が上がる企業SNSの特徴(複数回答)は明快だ。

Q10:志望度が上がる企業SNSの特徴(複数回答)/N=100(%)

センスは加点要素(志望度が上がる45.0%/平均3.26)だが、それは信頼できる実態が前提。

おしゃれさより、「盛っていない」と感じられるリアルさが響く。

特別分析|自由記述の“本音”を、一言ずつ解剖する

ここからが本コラムの核心です。

【設問】

説明会で「残業なし」「アットホーム」と言われても、「これ絶対嘘だ」と直感する「小さな違和感」は何ですか?具体的に教えてください。(自由記述)

実際に書かれた言葉をそのまま引用し、その一言が何を意味するのかを一つずつ解説します

まず、違和感がどこへ向いているかの全体像から。

Q11:違和感のトリガー(自由記述のキーワード言及ベース・複数該当あり/有効回答76件)

発見①|言えば言うほど、逆に疑われる

最多クラスタは、企業が最も伝えたい言葉「残業なし」「アットホーム」「ホワイト」そのものへの不信だった。

“本当に社員にとって働きやすい職場は、わざわざ自らのことをアットホームなどと自称しないと考えるから。”— 4年・女性

ポイント|“良い状態は自称しない”という直感。実態が伴う企業ほどその言葉を使わない。だから使う企業ほど疑われる。売り文句が、そのまま自己否定に反転している。

“「残業なし」などの言葉自体が胡散臭い。よほど確実な根拠がない限り「なし」と言い切るところに違和感を感じる。”— 2年・女性

ポイント|断定=リスク信号。ゼロと言い切る不自然さに「盛り」を嗅ぎ取っている。条件の中身より、言い切りのトーンそのものが不信を生んでいる。

“社会保障完備という企業。企業が従業員に社会保障を完備するのは当たり前のはずなのに、わざわざ提示している点が違和感。それだけ福利厚生が他にないのかと思う。”— 4年・女性

ポイント|“わざわざ言う”こと自体がネガティブ情報として読まれる。当然のことをアピールする=他に誇れるものがない、という逆算が働く。訴求ポイントの選び方まで値踏みされている。

“わざわざアピールしてくるのが逆に怪しいと思う。”— 3年・男性

ポイント|アピールの強度と信頼度が反比例する。声高な主張は「隠したいことの裏返し」と受け取られる。“操作しようとした痕跡”そのものへの拒否反応だ。

“アットホームだからこそ飲み会残業多そう。”— 2年・女性

ポイント|キーワードを即座にネガティブな実態へ変換する“翻訳辞書”を学生は持っている。企業が意図した意味と、受け取られる意味が正反対になっている。

総括:透明性=信頼/“操作された空気感”は見透かされる企業の一番の売り文句が、一番信じられない言葉になっている。採用広報最大のパラドックスです。拒否反応は「情報の中身」ではなく、断定・多用・自称という“コントロールの痕跡”に向く。言葉で「良い会社です」と主張するほど、逆効果になりうる。

発見②|学生は“言葉”ではなく“空気”を読む

“服装がきちっとしていて、みんな揃っている。若い人が説明していて、上司っぽい人が監視するように見ている。”— 3年・女性

ポイント|整いすぎた“完璧な絵”が、かえって統制とやらされてる感、緊張を露呈する。学生は言葉ではなく、視線・姿勢・立ち位置という非言語から社内の関係性を読み取っている。

“定時で帰りやすい雰囲気です、と言いつつ、遅い時間にメールが来る。”— 4年・女性

ポイント|言葉と事実のズレの典型。たった一つの矛盾が、他のすべての説明の信頼まで崩す。ディテールの不一致こそ致命傷になる。

“社員が疲れて見える、若手が少ない。/ 顔が死んでる。”— 2年・女性 / 3年・男性

ポイント|最も雄弁なのは社員の“顔”。どんな言葉よりも、表情と年齢構成が実態を語る。学生は登場人物のリアルを一瞬で採点している。

“残業はないが、社用スマホは休日も手放さないと聞いた時。”— 4年・女性

ポイント|“制度上の残業なし”と“実質的な拘束”の差を正確に見抜く。ラベルではなく、生活の実感で判断している。

総括:雰囲気の力学/形式知と暗黙知のズレ人は理性ではなく“雰囲気”で動く。学生は「企業が言っていること」と「場からにじみ出るもの(顔・空気・関係性)」の不一致を検知している。“小さな違和感”の正体は、まさにこのズレです。

発見③|“誰が”語るかで、信じるかが決まる

“上の立場の人からの主張。若手の人が同じことを言っていたら信用すると思う。”— 2年・女性

ポイント|同じ言葉でも、経営層が言えば「宣伝」、若手が言えば「本音」。信頼源は“制度”から“人”へ移っている。語り手の立場が、メッセージの真偽判定を左右する。

“タメ口を使っている企業。学生はまだお客様となる可能性もあるのに敬語を使わない…アットホームを強調したかったのかもしれないが逆効果。”— 4年・女性

ポイント|距離を縮める演出が、礼儀の欠如として受け取られる。“フランクさ”の押し付けは、対等な共創ではなく一方的な馴れ合いに見えてしまう。

“台本感が見える言葉や、いい言葉で取り繕われた言葉で紹介している時。/ 説明してる人がきっちりしすぎてる。”— 2年・女性 / 2年・男性

ポイント|台本=余白(間)の欠如。作り込むほど“その人らしさ”が消え、不自然になる。堅すぎもタメ口も、同じ“自然な対話からの逸脱”として減点される。

総括:信頼源の移行+“間”の設計「何を言うか」以上に「誰が言うか」。若手が自分の言葉で語る余白が信頼を生む。完璧な台本より、少し不器用でも“その人らしい”語りが効く。

発見④|一面だけ見せると、隠していると思われる

“超陽キャ、体育会系!みたいな人に「飲み会や社内付き合いに関して、全然きついものはない」みたいに言われても、あなたの性格に合ってるからでしょ、と思う。…いろいろなパターンの人の話が聞きたい。”— 2年・女性

ポイント|“盛れる社員”の証言は、代表性を疑われる。学生は多面的な存在で、自分に近い語り手を探している。単一キャラの起用は、共感の入口をむしろ狭める。

“説明会で体育会の人しか出演していないこと。”— 3年・男性

ポイント|登場人物の“偏り”が、都合の悪い面を隠したサインに見える。多様な語り手の不在は、そのまま透明性の欠如として読まれる。

“みんなやりがいを持ってるみたいな言い方は、それ前提の圧力的なパワハラされそう。”— 2年・女性

ポイント|全員一致の“やりがい”は、同調圧力の匂いに変換される。ポジティブの押し付けが、逆にネガティブな将来を想像させてしまう。

発見⑤|そして、隠しても“見抜かれる”

“新卒の退職率などが公開されていない時。”— 3年・男性

ポイント|“出していない情報”そのものが判断材料になる。開示しない選択が、不都合の存在を推測させる。沈黙もまた、一つのメッセージだ。

“就活生の質問をうまくはぐらかす。/ もう一度聞いた時に濁される。”— 3年・男性 / 2年・女性

ポイント|回答の“歯切れ”をリアルタイムで観察している。はぐらかしは、内容以上に「隠している」という印象を強く残す。

“甘い言葉だけで事業が回るとは思わない。残業がある場合はどんな時かなど、実際のことも言ってほしい。”— 2年・女性

解釈|学生が求めているのは“完璧”ではなく“正直”。ネガティブも含めて語る企業こそ信頼される。課題の開示は、弱みではなく信頼の資産になる。

“SNS運用の仕方でわかると思います。特に昨今ではtiktokでの運用の仕方によって、ブラックかそうでないかが顕著に現れると思います。”— 院・女性

ポイント|投稿の“中身”だけでなく“運用姿勢”そのものが企業文化として読まれている。誰が、どんな距離感で、どれだけ誠実に運用するか——SNSは実態の縮図だ。

学生全員の違和感を、一言で貫くと学生が拒否しているのは「情報の中身」ではなく“操作の痕跡”です。
断定語・台本・監視・情報の非開示など、すべて『企業がコントロールしようとした跡』にNGが出ている。きれいなサイトや条件提示で“加点”は作れても、共感がゼロなら掛け算であれば全部ゼロになる。この学生の本音部分は、その“共感をゼロにする要因リスト”そのものです。そしてSNS・説明会・HPは全接点の“倍率効果”。土台の実態がマイナスなら倍率はマイナスに働く。79%の裏取りで一気に剥がれる。答えは逆説的にシンプル。言葉で「言う」のをやめ、実態で「示す」こと。自分で裏を取っても崩れない一貫性こそが、唯一効く。

結論:採用SNSは「認知」ではなく「信頼」を設計する

データも肉声も、同じ一点を指している。SNSは重要。だからこそ、“盛る”のではなく“信頼”を設計する。若者に迎合するのではなく、学生が本当に知りたい“ありのままの姿”を、企業側から先に見せること。学生の本音が教えてくれるのは、次の4点が成果を分けるという事実です。

① 作り込みすぎない 演出臭・断定・自称を減らし、等身大の日常で“示す”。

② 若手の本音を、若手の言葉で “誰が語るか”を設計する。信頼できる語り手を社内につくる。

③ 応募導線を整える 興味(68%)を、エントリー・説明会予約という行動に変える。

④ ネガティブ情報も先回りする 課題も正直に発信し、79%の“裏取り”の前に不信を中和する。

“信頼される採用SNS”は、設計できる

「等身大に」「本音を」「導線を」と、言うのは簡単だが、実務に落とすと難しい。

誰を語り手にするか、どこまで正直に見せるか、投稿から応募までをどう繋ぐか。この“設計”こそが、成果の出る採用SNSと、続かない採用SNSを分ける。

私たちLIDDELL(リデル)は、SNSマーケティングの知見をもとに、企業の採用SNSを「認知づくり」で終わらせず、“信頼を設計する”運用へと伴走支援しています。
本調査のように当事者のリアルな声を起点に、貴社らしさが正しく伝わる発信の型づくりから、応募までの導線設計、効果測定までを一気通貫でご支援します。

採用SNSの見直し・立ち上げのご相談は、LIDDELLへ「投稿しているのに応募が増えない」「何を発信すべきか分からない」——そんな課題こそ、“信頼の設計”で解けます。まずは自社SNSの無料診断から。お気軽にお問い合わせください。